オステオパシーについて〜身体は繋がっている5~頭蓋編1

身体は繋がっている、という事で今回は「頭蓋・顔面骨」分野のお話をします。

頭蓋骨、顔面骨というのは人間の身体の中での非常に繊細かつ複雑な部分です。脳などの中枢神経を保護しているという意味でも臨床でも大きな意味を持ちます。当然、オステオパシーの施術においても様々な問題に大きな良い影響を与えてくれます。
それだけに僕ら徒手療法家にとっても神聖化される部位なのですが、しかし頭とて身体の一部である事に他の部位と違いがある訳ではありません。次の例を考えてみましょう。
最近急に頭痛が続き悩んでいる方がいるとします。医学的画像検査では異常なしと言われました。オステオパシー検査をしても当然、首、肩の問題や頭蓋骨の可動性等にも問題がある事は大いにあります。しかし、例えばこの方が10年前に大きな捻挫をしていたとしましょう。今までお話してきたように身体は繋がっているので捻挫をした瞬間に頭蓋骨の形は変わります!(厳密に言うとオステオパシーでは頭蓋病変が生じるといいます)
捻挫の痛みは仮に放置していたとしても消えてくれるかもしれません。そして痛みがなくなれば「治った」と思うのが人間です。しかしながら、捻挫の瞬間に生じた足関節の整列の問題やそれから生じた身体の様々な問題、頭蓋の問題は自動的には戻りません。
そして10年後…、いよいよ「頭痛」という形で症状があらわれてくるのです。であれば、やはり大きな誘因である足首の問題を良くしておかないと頭痛の根本的な解決にはならない、とは考えられないでしょうか?
そう考えると、「小顔矯正」などといって他の身体の部位を無視して顔や頭だけを強圧で矯正するのが、身体にどれ程悪影響を及ぼしかねないか(しかもその頭蓋骨の矯正すらちゃんとしたものとは言い難いです)想像がつくと思います。
本当の良いオステオパシーにはとにかく身体のどこに主たる大きな問題があるかを「診る」力が必要です。テクニックは確かに必要ですが、良い大工道具がそろっていても建物の構造を知らないと家を建てたり直したり出来ないように、まずは人の身体が診れないといけません。
そうした身体の変化は日々の生活、そして前回お書きした外的因子などによっても大きく変化していき、それらを診る為の訓練や経験は日々の臨床で永遠に続いていきます…

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